2014年2月8日土曜日

焼き物仕事 その2

うつわ作りはまずロクロで形を作ります。そのあとに半乾きの状態で白化粧土をかけるのですが、ここで最初の洗礼をうけます。あまり早い段階でかけてしまうと化粧の水分で器が壊れてしまいますし、かといって乾き過ぎると化粧がプツプツと浮いてきます。
ある程度砂の多い土のほうが良い感じに焼きあがるのですが、そのような土を使うとそういった現象がさらにエスカレートしていきます。
ロクロ作業中に、棚に並べた化粧がけのすんだ器のばさりと壊れる音が背中の方から聞こえると、がっくりと力が抜ける思いがします。
他にも、鉄分の多い土と白い化粧土とでは焼成後の収縮率が違うので、そこをあわせるようにしないと、うまく焼きあがっても縁の化粧が浮き上がってポリポリはがれてきたりしてがっかりということも多々あります。

このような「あちらを立てれば,こちらが立たず」的なトラブルがあとをたちません。そこに振り回されているうちにずるずると粉引の迷路に引きずり込まれ、かれこれ15年以上さまよっています。
ひとえに私の未熟ゆえのことなのですが、粉引を手がける方はみなさんある程度は似たような経験をされているのではないのでしょうか。

なぜ「そんな面倒くさいものをつくろうとするのか」というような事を良く聞かれるのですが、私の場合粉引の柔らかな白も魅力なのですが何よりもその白を透かして感じられる土の気配のようなものが好きなのです。

時としてにおいや気配の方が実体よりも濃厚な存在感を示すことがあると思います。

上から化粧がかかっているにもかかわらず、その下からにじみ出るような土の色にこそ、その個性を強く感じるのです。

このようなことを考えながら器を作り続けています。
なかなか思うようにはいきませんが、せめて自分なりのものが焼けないかと悪戦苦闘、ときに開き直りの日々なのです。

粉引のマグカップ