2014年4月20日日曜日

あたたかくなりました。
今年は寒い寒いと言っていたのが、唐突に春がやって来た感があります。

さて、私は四月の初め頃、郷里の熊本に帰ってきました。
約2年ぶりの帰省でしたが、この季節に帰るのは、もしかしたら高校卒業以来熊本を離れて、今回が初めてだったかもしれません。

熊本の春は、濃厚な自然の息吹につつまれます。
子供の頃から春の山が大好きでした。
ポカポカとあたたかい山の中の陽だまりで、春のにおいを感じながら遊んでいたのを懐かしく思い出します。

今回の帰省の一番の目的は、「筍掘りを習得する」というものです。
我が家には竹山があるので、この季節は筍の出荷に追われます。
竹山は数年放置すると、竹が伸び放題ですぐに荒れてしまいます。
以前から山は守っていきたいという気持ちがあり、また親もだんだんと年を取っていきますので、ここらでしっかりと覚えておこうと思ったのです。

まずは筍を見つけなければいけないのですが、これが慣れないうちはなかなか分からないのです。
地面から数ミリ頭を出したもの、それが出る前の地面のひび割れ、足裏に感じる突起、それらを全身を目にして探していきます。
見つけたら、筍の先端がどちらを向いているかで根っこのある位置に見当をつけ掘っていきます。
掘っている途中で他の根がじゃまをすることがよくあります。
径2~3センチのかたい竹の根を、唐鍬(トウグワ)という筍掘り専用の鍬で叩き切りながら、筍を傷付けないように掘っていくわけです。

1、2本ならなんと言うこともないのですが、続けていくうちに普段使っていない筋肉がきしみ始め汗がにじみます。
普段から体を使って仕事をしているつもりでしたが、いやこれは重労働です。
農家の方の体力には頭が下がります。(しかもそのほとんどが高齢者の方)
今の私では一日せいぜい50キロでクタクタ。
しかし農家の人は一人で一日200キロ以上ということも!

しかも筍は掘るだけでなく、それを場所によっては、山の急な斜面を担いで運ぶのです。
70歳を超えた方たちがそれをやっている姿を目の当たりにすると、驚きとともに勇気をもらいます。
男46歳まだまだヒヨッ子、もっと体をいじめてよい。
きしむ筋肉何のその!です。

それにしてもこの気持ち良さ!
重労働ではありますが、ふと手を休めると春うららの山の中、ウグイスの声だけが山にこだまします。
自生しているサンショウの葉を口に含むと、全身の細胞が目覚めるようです。
なんと上等な労働!

筍は年間を通じて肥料を与えたり竹を間引いたりと、少しは手を掛けなければいけませんが、基本的には山に勝手に生えてくるものです。

まさに自然の恵み。
人は黙々と唐鍬をふるい、それをいただきます。
焼き物の仕事も、こんな気持ちで向かいたいものです。

人は土から離れて生きてはいけないのではないか、という思いをまた一段と強くした、春の熊本なのでした。


しばらく常滑を離れていたらキャベツ畑が一面菜の花畑に