2014年1月20日月曜日

焼き物仕事 その1

私は専ら普段使いのうつわを作っています。
その中でも粉引という技法を中心に焼いているのですが、これが滅法手ごわいやつなのです。
「粉引」というのは「粉吹き」とも呼ばれ、もとをたどれば朝鮮半島の焼き物です。
粉を吹いた様な柔らかな白が持ち味なのですが、使っていくうちにシミになったり、技法の性格上なかなか数がたくさん作れないことなどがネックとなり、李朝のわずかな期間にしか作られませんでした。
しかし、これが日本に渡り茶碗として使われるようになると状況は変わってきます。
その独特の白さや、使い込むほどに味わい深く変化してゆく景色が日本人の好みにピッタリとかさなったというわけです。
以来、日本では根強い人気を持っています。
私も自分で作りながら、料理が美味しそうに見えるということではやはり粉引が一番ではないかと思うのです。
粉引の技法を簡単に説明しますと、それは「鉄分の多い黒い土の上に、水にといた白い土をかけて、透明の釉薬をかけて焼いたもの」ということになります。
一説には白い土がとれない地域の人々が白い焼き物にあこがれて作り始めたといわれています。

一見しますと白い無地の器で、これを作ることがそんなに難しいとはとてもおもえません。
はじめは本当に軽い気持ちでスタートしたのでした。

平成25年12月に焼いた粉引のポット